サーバの運用保守にはどんな管理資料・マニュアルが必要になるか?
自分の担当範囲である基盤システムを対象に考えてみた。
以下の項目に分けて書いている。
①なぜ管理資料やマニュアルが必要か
②どのような管理資料やマニュアルが必要か
③管理資料やマニュアルを運用する上でのポイント
①なぜ管理資料やマニュアルが必要か
システムの管理は一人がやるものではなく、複数の担当者が実施することがほとんどであり、またシステム運用期間ずっと同じ担当者というわけでもなく、異動や退職によって変わるものである。
(もし、管理対象範囲を最初から最後まで自分ひとりで実施する場合は、管理資料やマニュアルの要不要は自分で決めれば良い)
そしてその担当者間で、運用に対する認識を合わせて、いつでも誰でも同じ対応ができるようにしないと、
対応品質がバラバラになり、システム利用者(=顧客)からクレームが来ることになる。
あの人はここまで丁寧にやってくれたのに、この人は対応が雑だ、という具合に…
そのため、担当者間で認識を統一し、誰でも同じように対応するために明確な管理基準(機器管理資料やマニュアル)が必要になる。
②どのような管理資料やマニュアルが必要か
管理基準は対象がデータセンター全体なのか、システム全体なのか、複数のサーバなのか等によって異なるため、ここではシステムを対象にして、必要となる管理資料やマニュアルについて挙げていく。
更新頻度の高い資料としては、
・課題管理表:運用する上での課題ややっておいた方が良いことなどを起票し、解決するために使う
・依頼管理表:システムを利用する人からの依頼や問い合わせを起票し、対応するために使う
・障害管理表:発生した障害について起票し、対応を進めていくために使う
・全体スケジュール表:課題・依頼・障害対応のスケジュールを全て書いておく
などが挙げられる。
更新頻度の低い資料としては、
・各種定型作業手順書:よくある依頼対応や障害対応について、すぐにいつもと同じ対応(実績のある対応)をするために手順化しておく
・各種設計書:課題対応や障害対応によってシステムの構成を変更したときに、変更内容を記録しておく
・マニュアル:システムの利用者向けにシステムにてできることや使い方、申請の方法を記載しておく
・虎の巻:運用担当者向けに基本情報と障害対応に必要になる情報を記載しておき、迅速な対応ができるようにしておく
などが挙げられる。
虎の巻について補足すると、
基本情報とは、対象システムの概要・構成図(システムの目的、サーバ台数・構成、環境など)やハード/ソフト構成、設計書・管理資料・手順書の場所、関係者の連絡先などを記載する。
障害対応に必要になる情報とは、本番機ログインの方法、監視設定、ログ・スクリプトの場所、よくある障害とその対応方法などを記載する。
これだけの情報をまとめておけば、ちょろっと気になることを確認したい時に役立つし、迅速な障害対応をすることにも繋がる。
③管理資料やマニュアルを運用する上でのポイント
二つある。
一つ目は、管理資料の目的・記載方法・更新すべきタイミングは必ず書く、ということ。
なぜなら、時間が経ったり担当者が変わった場合にこれらの情報は忘れられやすく、管理資料が形骸化していく可能性が高いためである。
二つ目は、システム稼動にとって重要な部分は明確にルールを制定しておき、システムが安定稼働せず会社の業績が下がる可能性を事前に防ぐ、ということ。
たとえば、全体スケジュール表は、きちんとメンテナンスされ、正確に記載しないと、対応の遅れやスケジュールのボトルネックに気づかず、障害状態が長引いたり、システム利用者の依頼に影響が出てしまう。
また、本番アクセスにかかる部分やデータの扱いにかかる部分なども、注意が必要。誰でも自由に本番アクセスできる状態であっては、システムを壊してしまう可能性があるし、後で誰がやったか分からない。また誰でも自由にデータにアクセスしダウンロードできる状態であっては、重要な情報(顧客や法人、社外秘の情報)が改ざんされたり外部に漏れたりしてしまう。
このような点はあらかじめしっかりとルールを決めておき、またそれに従うしかない制限を加えてしまえば良い(本番アクセス時のログ取得を強制したり、データダウンロードはできない設定にする、など)。
以上、サーバの運用保守にはどんな管理資料・マニュアルが必要か? についてまとめた。
管理資料やマニュアルを増やすと、それ自体を書いたり読んだりすることに時間がかかり肝心な業務が進まなくなる可能性もある。
しかし、全くないと管理の統制が取れず、担当者その人にしか運用できない属人化したシステムになってしまう。
これは組織としては非常に痛い状態。
業務のオーバーヘッドが大きくならないように、属人化しすぎないように、バランスよく管理基準を用意し、利用することが、実は一番重要かつ困難なことだったりして…